2019/10/15
「創造主が与えられた人間の尊厳、宗教の自由から始まる」
「北朝鮮は、正常国家化の動き…宗教の自由なしには不可能であることを認知すべきだ」
「宗教の自由は、核兵器より強力な北朝鮮の変化を導く精神的武器」
「主体思想を一つの宗教と認める戦略も、北朝鮮の変化導く方策になるだろう」
「宗教の自由は、すべての人権の始まりだ。朝鮮半島の統一を実現するために扱わなければならない重要なテーマの中で、北朝鮮の人権と関連した部分を『宗教と信仰の自由』という観点から取り上げる必要があります」。米国メリーランド ライトハウスチャーチ主教(米国)のポール・マレー師は、8月14日のワンコリア国際フォーラムの「北朝鮮宗教の自由と人権」分科セッションを開会しました。
今年7月、米国務省の主催で開かれた「2019宗教の自由を促進するための閣僚級会議」に韓国代表として参加したシン・ジン忠南大学教授(国家戦略研究所長)は、「トランプ政権は最近、米国の政策基調として『宗教の自由』を採用したものと思われる。米国の対外政策の核心的な基礎として宗教の自由を世界中に拡散することを明らかにした」とし、「今こそ、北朝鮮の人権改善のための宗教の自由の声を高めるべき時だ」と強調しました。
脱北した太永浩元駐英北朝鮮公使は北朝鮮宗教歴史の要約を紹介し、「昨年のクリスマス、北朝鮮初の宗教的メッセージが電波に乗った。なぜこの時点で北朝鮮が宗教的メッセージを伝えるのかについて注視しなければならない。まさに北朝鮮が正常な国家だと見られたい意図があるためで、本物ではないだろうがそのよう『ふり』をし始めたのだ。このような変化をうまく活用して北朝鮮の唯一思想10大原則の母胎となった聖書が入ることができるよう方案を用意しなければならない。特に読みやすく理解しやすい北朝鮮式聖書を作成し伝えていく必要がある」との意見を提示しました。
そして、トップダウン方式としてプーチンがロシアの海外の外交官らが日曜日に礼拝をするのに教会が必要と要求して、ロシア正教の教会が平壌に建ったように、投資を得るためには経済特区や観光特区で自国の人々のために教会が必要だとトランプ大統領が訴える具体的な提案をすべきだと主張しました。
複数回の訪朝経験があり、北朝鮮内にあるキリスト教家庭教会まで訪ねたことがあるというチェ・ソンホ中央大学教授もこれに共感し、「宗教は北朝鮮の首領絶対主義を崩す要素となる。様々な宗教の中でも、キリスト教が最も重要な核心である」と述べました。
アン・チャンイル世界北朝鮮研究センター所長は、「国際社会の支援が切実だ。北朝鮮が宗教の自由を政策的に導入しなければ、通常国家として認められることがないことを知らせるべきだ」と国際的協力を要請しました。昨年の南北首脳会談当時、カトリック信者である文在寅大統領は金正恩委員長にフランシスコ法王の招待を提案し、これを聞いた金委員長は「法王が平壌を訪問していただければ熱烈歓迎する」と歓待の意思を明らかにしました。
現在ではローマ法王の招待はなくなってしまった状態ですが、キム・チュンファン北朝鮮宗教と信仰の自由国際連帯代表は、このことを持ち出し、「米朝サミットが続いている今、次の会談時にトランプ大統領が北朝鮮にこれに関連するメッセージを再配信したり、宗教の自由の案件を提示した場合には、受け入れられる可能性が高まると予想される」と期待を示しました。もちろん、北朝鮮に対して、宗教の自由の声を上げることの危険性と反論を提起する見方も存在します。
2015年、北朝鮮に抑留され2017年に釈放された韓国系カナダ人のイム・ヒョンス・トロント クンピ教会の牧師がこれを裏付ける意見を提示しました。イム牧師は「北朝鮮の(主体思想)宗教は極端なイスラム教よりも強力である。北朝鮮にキリスト教会がさらに入っていき、宗教が流入することは事実上不可能である」と断定し、「北朝鮮の世襲、遺訓統治を知らずに言っている話だ」と述べました。
彼は過去のメディアのインタビューを通じて、「北朝鮮を20年間で100回行き来し、いつも気をつけて人道的活動のみに最善を尽くしたが、北朝鮮ではなく海外(米国)の講演で述べた発言が問題視され、国家転覆陰謀罪と最高尊厳冒涜罪を宣告され抑留された」と述べています。北朝鮮は国外の宗教活動さえも問題視するので、北朝鮮内部の宗教の自由を説くことは事実上不可能だということです。
同氏は「(宗教を前に出すよりも)人道的な民間交流で北朝鮮との接触を拡大していくことが重要である。」と助言しました。
イム牧師よりも前に2012年同じ理由により北朝鮮で抑留され2014年に釈放された韓国系アメリカ人、ケネス・べー ネヘミヤ・グローバル・イニシアチブ(NGI)代表も共感を示し、意見を付け加えました。「北朝鮮は、米国の核兵器よりも宗教人をより恐れている。信仰活動が疑われたり摘発されたりする北朝鮮の住民の全ては今でも政治犯収容所に連行されている。事実上、北朝鮮の宗教開放は不可能である」と説明。「しかし、同時にここで私たちは、『宗教が北朝鮮を崩すことができる最も強力な武器』であることを再確認したということだ」と北朝鮮の変化を導くために、宗教問題の議論を継続すべきであると強調しました。
NO FENCEの代表である小川晴久東京大学名誉教授は北朝鮮宗教の自由白書を見せながら、北朝鮮のキリスト教の信者が中国の国境沿いで増えていることを伝えたうえで、当局に捕まり政治犯収容所に送られてしまうので北朝鮮の宗教の自由のためには国際社会が政治犯強制収容所を無くす運動をしないといけないと訴えました。国連人権理事会における北朝鮮の人権に関する国連調査委員会の報告書で4か所に8万から12万人が収容されている資料を配り、キリスト教信者を強制収容所に送るなという運動を北朝鮮の外からしないいけないと強く主張しました。
上智大学のサンドラ・ファヒ教授は世界各地で催されている主体思想の学習グループに宗教グループを連結させ宗教と人権の自由を伝えることと、宗教の自由があると北朝鮮は市民社会を通して偽の主張しているが宗教を実際に実践させるように国際社会から働きかけることを提案しました。そして真実の人権としての宗教の自由とは何かを国際法の定義を使って説明しました。
分科会では自由な議論の時間もあり、様々なアイデアが提示されました。「北朝鮮の内部は宗教や人権が何のことかもわからないので、キリスト教だけではなく思想や様々な宗教の自由を持つ自由がある」ことを伝え、「むしろ北朝鮮の主体思想を一つの宗教として認めてあげれば北朝鮮の住民が他の宗教に対する拒否感が減り、比較・分析することになる変化を持つかもしれないと思う」などの提案が出ました。
さらに「国連のような国家連合このように、例えば宗教連合「UR」(United Religion)を作成し、それによって主体思想教を宗教化する戦略を取ることもできるかもしれない」という意見も出ました。