2025/01/10
2024年11月30日(土)に「統一コリアのビジョンと草の根市民運動」と題して、オンラインセミナーが開催されました。最初に事務局の芳岡氏よりAKUの活動報告があり、次に川崎栄子代表が自身の経験を交え、北朝鮮の現状と今後の方策について語りました。最後は質疑応答があり、参加者からは幅広い質問が寄せられ、貴重な学びの場となりました。
■2つの主要行事
2024年9月27日と28日に韓国で開催された2つの主要な行事を中心に紹介がありました。
ワンコリア国際フォーラム2024(9月27日、ソウル)韓国ソウルの中心地ヨイドにあるホテルで開催され、韓国、日本、アメリカ、ヨーロッパなど世界各国から、朝鮮半島問題に関する専門家500人以上が参加しました。フォーラムでは、朝鮮半島の平和統一と安全保障、国際関係、人権問題、経済発展など、多岐にわたるテーマについて議論が行われました。
特に、国会副議長のチェ・ボヨン氏は、「統一不信論」が統一を妨げる最大の要因であると指摘しました。フォーラムでの議論は、この統一不信論を打破し、統一が実現可能であり、東アジアに素晴らしい影響をもたらすものであると述べました。
コリアンドリームの著者でもあるヒョンジン・P・ムン氏(GPF理事長)の基調講演では、コリアンドリームが朝鮮民族の長年の念願である理想国家の実現であると述べました。また、統一部の改革を要請し、政権交代に左右されない一貫した統一への努力の必要性を強調しました。
2024コリアンドリーム統一実践大行進(9月28日、臨津閣)ソウルから北上し、38度線に近い臨津閣(イムジンガク)で開催され、約3万人の聴衆が集まりました。このイベントには、1000人以上の脱北者も参加し、朝鮮半島の平和統一への思いを共にしました。様々な団体によるパフォーマンスや、青少年のテコンドー団体「テコンシップ」による演舞、ドローンショー、花火などが催されました。約2000名の方々が統一を叫びながら大行進を行い、ヒョンジン・P・ムン氏(GPF理事長)も基調講演を行いました。ドローンショーでは、「コリアンドリーム」の文字や朝鮮半島の地図が夜空に描かれ、分断から統一へと向かうストーリーが表現されました。同行した在日コリアンの方が「北の同胞達からも見えたんじゃないか」と涙していたと言います。
芳岡氏は「コリアンドリーム」が日本や東アジアにとっても平和に繋がる内容なので、これからも関心を持って応援していただきたいと締めくくりました。
■川崎栄子代表のスピーチ概要
川崎代表はまず、ワンコリア国際フォーラムで自身が感じたことを語り始めました。この行事は、大規模で人々を興奮させる素晴らしいものだと述べました。特に、韓国の臨津閣(イムジンガク)から北朝鮮を間近に望んだ際、20年間も引き裂かれている家族への思いと現状への無力感がこみ上げ、人知れず涙したと言います。そんな中、人権セッションでの自身の短いスピーチに、聴衆がよい反響を示してくれたことへの喜びを表しました。そして、今回の中心議題である朝鮮半島統一について、自由と人権の保障、軍事的緊張の緩和と世界平和の実現、そして人類の繁栄への寄与という目的を力強く語りました。
しかしながら、国際情勢が変わってきているとし、話題はロシアのウクライナ侵攻へと移ります。北朝鮮がロシア側へ軍事的に加担している現状を「類は友を呼ぶ」ということわざを用いて痛烈に批判。金正恩が外貨獲得のために北朝鮮兵をウクライナへ送り込み、彼らを「弾除け」として使い捨てている悲惨な実態を明らかにしました。1万2千人の派兵により1人当たり2000ドルずつ、約2億4千万ドルが金正恩の懐に入る「金儲け」だと批判。国民には利益が回らず困窮している悪循環があるにも関わらず、情報統制が厳しい密告制度のため、北朝鮮住民が協力できない現状を嘆きました。 川崎代表は、こうした非人道的行為が21世紀に許されてはならないと強く訴えます。現状の打破には、国外からの働きかけと北朝鮮国民の反発が必須であると述べました。
さらに、北朝鮮に残してきた家族への心配を率直に語り、プーチンの戦争目的とウクライナ侵攻の背景について、ウクライナ戦争が拡大する警戒感など、独自の視点から分析を展開しました。
川崎代表は、戦争の早期終結に向けて、国際社会が団結し、署名活動や各国への働きかけなどを通じて行動を起こす必要性を強調しました。最後に、この戦争が「対岸の火事」ではなく、自分たち自身の問題であると認識し、特に核の脅威を一番よく知る日本人の一人一人が当事者意識を持って行動することを呼びかけ、スピーチを締めくくりました。
■質疑応答
質疑応答では、拉致担当大臣の帰国(北送)事業への発言の無さや、北朝鮮のウクライナ派兵についての見解、金正恩政権の内情、北朝鮮住民の生活、教育、信仰、自由に関する制限など、多岐にわたる質問に川崎代表自身の経験を交えながら回答され、中身の濃い時間となりました。