一般社団法人
アクション・フォー・コリア・ユナイテッド

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「北東アジアの架け橋としてのコリアンと民間交流」というテーマで講演会を開催しました

2021/10/10

 9月25日(土)に、早稲田大学教授の李エリア氏をお招きし、「北東アジアの架け橋としてのコリアンと民間交流」というテーマで講演会を開催しました。

 李エリア氏は早稲田大学の日米研究所に2018年から所属。民主平和統一諮問会議の海外常任委員や在外韓人学会の副会長も務めておられます。

 当日話された多くの内容より、抜粋した内容となります。

―中央アジア、極東地域の北朝鮮労働者について
■世界のコリアンディアスポラは750万人いると言われる。そのうちアジア地域のコリアンは中国の朝鮮族、日本の在日コリアン、中央アジアの高麗人、極東地域の高麗人、ロシアサハリンの韓人、などがいる。
■ソ連崩壊後の中央アジアにコリアンの研究をしてきた。2014年から沿海州、ロシア全体の北朝鮮労働者の実態調査を行なってきた。
■北朝鮮労働者の専門家として、2018年、ジョンズホプキンス大学で講演会をしたことがある。
■日本留学時にソ連研究をしようとしていたが、まもなくソ連が崩壊。当時の唯一の在日の友人宅に会った「在ソ朝鮮人のペレストロイカ」という本を読み、ソ連には50万人以上のコリアンが住んでおり、かつ、過酷な強制移住をしたと知る。
■1937年、日本のスパイに利用される恐れがある、として17万人のコリアンが沿海州から中央アジアに強制移住させられる。
■途中のいくつかの場所で定着。土を掘ってそこで暮らし、生き延びる。
■ソ連時代には子供の教育に力を入れ、124民族のうち、ユダヤ人に続く大学進学率であった。
■崩壊後、1990年代半ば、ソ連ウズベキスタンで自民族中心主義政策に被害を受けた高麗人が沿海州地域に移住をする。ソ連ではロシア語で通用していたが、ウズベキスタンでウズベク語政策が行われた結果、ソ連地域の沿海州に移住。しかし、ソ連国民としての身分証明書がなかったので、保険や年金、教育などを受けることができなかった、といった歴史がある。
■ウズベキスタンからきた高麗人を対応する基金の理事長が、住民登録をし、学校に行けない子供たちに学校教育、また、ハングルでの新聞「高麗新聞」を発行するなどのサポートをした。

―北朝鮮を訪問
■今は解散しているが、韓民族福祉財団の日本支部長として2006年訪朝し、平壌医科大学に訪問。心臓透析室の設置、木製の窓枠をアルミニウムに変える作業、また、病院に支援した医療器具の点検の目的だった。北朝鮮の病院の医者たちも非常に穏やかな医者であり、韓国代表団の心臓移植専門家の医師に学ぶ機会を設けた。
■現地の農場視察も行い、韓国から支援した農業器具の点検を行った。
■現地の高麗人の家では家庭菜園があり、非常に整えられている。
■もてなしの際に出された食事で、「ネギ」をテンジャン(朝鮮味噌)をつけて食べる。韓国では唐辛子をつけて食べることはあるが、風習の違いを発見した。 

―元金大中大統領の示唆で、北朝鮮訪問の方向性を探る
■北朝鮮訪問の指針に対して、金大中大統領が背中を押してくれる。
■2005年に金大中大統領を日本に迎え、東京大学で講演。大統領の拉致以来ぶりの来日。本人が実施した日韓文化解放政策の成果にも触れる。

―北朝鮮に対する施策について
■沿海州には多くのコリアンが住んでいる。2万人の脱北者が北朝鮮の実情を話している。金日成、金正日が亡くなった時も、北朝鮮はいずれ崩壊するだろうと予想されていたが、そうなっていない。現状は、中国が北朝鮮の開発権を意のままにしている。
■ソ連崩壊後の1992年にモスクワ・サンクトペテルブルグを訪問。予想外の国家崩壊が国民を惑わせることを目の当たりにしてきた。
■2004年から沿海州の朝鮮族研究に携わっている。多文化多国籍コリアンが在住しており、脱北者にも会った。
■沿海州地域には労働者が不足している。アジア出身海外労働者(中国、中央アジア、東南アジア、北朝鮮)が入植している。現在は中国人労働者はほとんどいない。2014年ルーブルの下落により、ほとんどの中国人は帰国した。
■北朝鮮は全世界に労働者を派遣している。主にロシア、ヨーロッパ、中国、モンゴル、中東、アフリカ、など。飛行機と列車を通して入国をする。
■国連制裁後の建設現場にも北朝鮮労働者は多く労働。
■鶏肉加工工場で働く北朝鮮労働者もいた。非常に寒く過酷な労働環境で16時間の労働を強いられるような状況下にある。(ロシア人労働者は8時間労働)
■国会議員たちとも沿海州を訪問した。

―北朝鮮の変化
■北朝鮮労働者が他国へ労働に行った際、一般の情報、ニュースに接する。彼らは元々平壌に住む人々であり、専門学校以上の学歴を持つ。彼らが平壌に戻り、海外の情報を家族に伝えることもできる。
■「労働者がロシアで羨ましく思っていることは?」という質問を労働者にしたところ、「家族が一緒に買い物をすること・男性が公園で本を読むこと」と答えた。男性で公園で本を読む、ということは失業者であることを意味するが、北朝鮮労働者にとってはそれが羨ましく映ることもある。

―北朝鮮労働者が、帰国後どのような役割を果たしうるか
■資本主義を経験(社会主義が残るロシアなどの国で)したので暫定的な北朝鮮改革・解放の人材となる。
■経済改革を先に経験した中国朝鮮族に移行経済を学び、北朝鮮の未来を率いる役割を期待できる。
■北朝鮮の経済解放後の移行経済政策に役割を担う。
■高麗人と朝鮮族を通した北朝鮮支援ができる→高麗人及び高麗人会社を通し、北朝鮮に技術を教え、北朝鮮に合う経営方式を開発する。北朝鮮の学生をロシア会社や農場、畜産企業に招待し技術を教える。沿海州の朝鮮族農業会社を通し農業技術支援をする。また、朝鮮族や高麗人の研究期間を通し、資本主義経済を学ばせる、などの方法がある。

―国際社会の北朝鮮労働者への対応はどのようか
■深刻な人権侵害を憂慮し、直ちに帰国させるか。国際社会で労働者の人権侵害を保護する方法を考えるか。平壌出身建設労働者に北朝鮮の実情を自ら自覚するように助けるか。移行経済を取得させ、北朝鮮の改革に貢献してもらうか。様々な対応を考える必要がある。

 などの内容が話されました。