2021/06/30
6月18日にAKUJapan設立3周年記念フォーラム「自由で統一された朝鮮半島のための国際協力―誰も語ったことのない朝鮮半島情勢を含めて―」を開催しました。
当日は韓国・米国から市民社会のリーダー3名の祝辞と、川崎栄子AKUJapan代表理事の基調講演がありました。
祝辞の一部と基調講演(抜粋)を紹介します。
徐 仁澤(ソ・インテク)AKU Korea 共同代表
コロナパンデミックの前例のない厳しい状況を迎えていますが、このような状況が私たちにもたらした教訓もあります。世界が運命共同体であることを悟り、与えてくれたのではないでしょうか。尊い犠牲を払って得た教訓を忘れてなりません。
国家間の葛藤を克服し、より良い世界を築かなければなりません。特に韓国と日本の関係はアジアだけでなく世界の繁栄に非常に重要だと思います。歴史をふり返ると、平和に過ごした時期もありましたが、心の痛い過去が思い浮かぶのは仕方がなく、過去を克服して新しい未来を築いていくことを願います。韓国と日本が今後ともに努力していかなければならない課題は、朝鮮半島の分断を克服し統一を成し遂げることだと思います。
1950年に始まった朝鮮戦争で数100万人の命が犠牲になり、DMZ(38度線の非武装地帯)を境に1,000万人の家族が生き別れになりました。分断の悲劇は現在も進行中です。北朝鮮の住民は人として持つべきである自由と人権を完全に奪われた状態で過ごしています。分断が終結しない限りどれだけ多くの人々の人生が犠牲になるかわかりません。
朝鮮半島の分断は韓民族だけでなく、世界の安保の脅威となる非常に重要な問題を引き起こしています。北朝鮮の核問題です。これは世界の平和を脅かす問題です。第二次世界大戦の後で、日本の植民地だった朝鮮半島がアメリカとソ連という理念の違う国家によって分断をもたらされました。分断の克服は、韓国と日本の不幸な過去を克服するために成さなければならない共同の課題であり、国際社会は多くの努力を傾けてきました。
しかし、オバマ大統領の戦略的忍耐、トランプ大統領が試みた首脳会談も失敗に終わってしまいました。これらの失敗から大きな教訓を得なければなりません。
過去の努力が失敗に終わった理由は核問題だけは解決するという狭い目標設定だったからであり、新たな戦略的フレームを持って対応しなければなりません。核問題は北朝鮮の統治体制と結びついた問題であり、統治体制の変化なくこの問題の解決は不可能です。理論的、経済的、経験的にこのような問題を解決できるのは平和統一しかありません。朝鮮半島の平和的統一という明確で長期的戦略を持ち、核問題を含む全ての問題に接近していかないといけません。
AKUは統一国家のビジョンを樹立し、それを南北の住民が共感できるために全力を尽くしています。それを私たちは「コリアンドリーム」と呼んでいます。弘益人間のビジョンには韓民族の5,000年の歴史と文化、道徳的価値を基底しており、新しい国家の建設を目標としています。
今、朝鮮半島は統一に向かうゴールデンタイムを迎えています。北朝鮮の核問題は北朝鮮を孤立した状態にし、核開発が北朝鮮の体制にとって脅威となっています。
AKUの新しい戦略的フレームワークを、韓国をはじめ国際社会に認識させ、共感を形成していくことに力を注いでいます。統一の主体は政権ではなく、市民です。
一人の夢は夢に過ぎないが、皆が同じ夢を見るとき、それは現実になる、という言葉があります。韓国には、志がある場所には必ず道があるという言葉があります。韓国のAKUは100万人に影響を作るために、3人にコリアンドリームのビジョンを伝えるプロジェクトを予定しています。三一独立運動、インドの独立運動、キング牧師の民権運動、マンデラ氏による黒人差別禁止運動、東西ドイツ統一の目の大衆運動など、海外の運動が活発に起こってこそ朝鮮半島の問題に最も大きな影響力を及ぼします。日本にも大きな発展の機会となるこの課題について力を合わせて統一を切り開いていきましょう。
柳在豊(リュ・ジェプン)ワンコリア財団 会長
本日3周年を記念し、今後の未来を約束するために集まっています。ワンコリア財団はAKUと組織的には別ですが、色々な面で志を共有しています。
朝鮮半島に関する国際社会の関心は大きいです。1つ目は核問題です。北朝鮮は2016年1月から2017年9月まで3回の大規模な核実験を行いました。シンガポールのサミット以降、核実験はないが深刻な機会です。日本にも深刻な恐れがあります。
2つ目は北朝鮮の人権問題です。脱北者が悲惨な状況を証言し、訴えており、北の住民の生活状況は日に日に悪化しています。ユニセフなどの発表によると、人口の39%の970万人が安全な水が飲めない。とうもろこしの値段が急上昇するなど深刻になっています。日本でも北朝鮮の漁師が北朝鮮を離れ死体が発見されると聞いています。北朝鮮の人権問題に対して日本はよく知っています。
貧困問題の解決策は一つしかありません。それはワンコリアを成すことです。それを私たちはコリアンドリームと呼んでいます。AKUは、統一のためにアクションをする、草の根運動をする人たちのことを指していますし、人権、経済、核問題に対しては統一のみが答えです。
統一だけが答えだと言いますが、どのような統一でも構わないということではありません。現在、韓国の文政権は終戦宣言、平和条約、南北連邦制度の設立を掲げ、韓国とアメリカの同盟の解体の可能性もあります。日本の市民も無条件統一が答えだとは言えないでしょう。
私たちが求める統一は、建国精神、韓民族固有の弘益人間の教えを基礎とするものです。18世紀のアメリカの建国精神にもある人類平等思想、三権分立、人権の確保、身分保護などが保証された国を成さなければなりません。
そして、統一には日本、フィリピン、モンゴル、ネパールなどの国際的サポートが必要です。日本の役割はとても重要なのです。そのようなサポートを得るために行われているのがワンコリアフォーラムであり、日本からも多くの方々が参加されています。
また、川崎栄子AKUJapan代表理事の43年間の北朝鮮の在留生活の話を聞き、同じような運命を迎えた9万3千人の同胞がいると聞きました。この問題も含め、解決のための努力に皆様も同参してください。一個人の問題ではなく、在日韓国人の問題として関心を持っていただきたいと思います。
李勝來(リチャード・リ)AKU-USA(Alliance for Korea United USA)会長
私たちが渇望する自由民主主義、朝鮮半島の統一は、私たち韓国人が一心同体で統一運動を主導し、国際社会が朝鮮半島の統一に協力するときに行われるものです。
特に朝鮮半島の平和と統一に直接的な影響を与える米国と日本のAKU-USAとAKU Japanは、それぞれの国で政策決定者、シンクタンクの専門家、そして市民に統一コリアがもたらす国際社会の平和造成と経済機会を通じた繁栄に対する共感を形成し、米国と日本の外交政策に、朝鮮半島の統一がポリシーとして反映されて協力を得た場合、それ以上価値のあることはないと考えます。
米国のAKU-USAは、1903年にアメリカに第一歩を刻んだ在米移民の先人たちが持っていた、朝鮮半島が自由で統一された国家として進む上で、米国での役割を尽くすという基本精神を持ち事業をしてきて4年目になります。アメリカの同胞の祖先は難しい初期移民の生活の中で収入の30%程度を上海臨時政府の財政支援のために送り、安昌浩、徐載弼、李承晩などアメリカの知識人たちは、米国の政府や議会で朝鮮半島の独立の正当性を知らせる多大な努力をしました。
AKU-USAの事業も、連邦議員、国務省管理者などのミーティング、シンクタンクの専門家と同胞の指導者を含む韓半島情勢と統一のためのフォーラムなどを進めています。その中で米国では我々韓人同胞による継続的な私たちの政治力伸張のための努力の結果として、最近の選挙で韓国人の連邦議員を4人も輩出する快挙を収めました。
共和党のYoung Kim議員とMichelle Park Steel議員、そして民主党の再選議員Andy KimとMarilyn Sticklandが選出され、在米離散家族の再会と朝鮮半島の平和問題など格別の誠意を示しています。
先日、在米離散家族再会法案を韓国人の夫を持つ台湾系Grace Meng下院議員が、4人の韓国系の連邦議員と一緒に下院に在米離散家族の再会法案を発議し、通過させました。上院を通過すれば、米国政府の保護の下、北朝鮮にいる家族との再会をすることができそうです。AKU-USAも、さまざまな団体と一緒に法案支持に参加をしています。
韓国の堅固な同盟国である米国が、外交を通して中国とロシアが朝鮮半島の平和と統一を志向する協力者となるように働きかける必要があると思います。また、日米同盟と韓米同盟を土台に韓日関係が改善され、日米韓の協調体制が強固になってこそ、北朝鮮が核問題を平和的な姿勢に転向し、平和が維持され、最終的には自由統一国家になることと思います。
したがって、AKU-USAは、韓米同盟を堅固にするために力を集めなければならず、AKUJapanは、日韓関係の改善のための世論づくりに役立つことが重要であると考えています。
私たちが行っている小さな事業がますます大きくなり、朝鮮半島の自由統一の国際世論が高まり、米国と日本の積極的な姿勢の外交的立場が、中国とロシアなどの国と国際社会が統一への支持を表明したときに、私たちの夢である自由統一国家が現実に近づくことができると考え、願っています。
川崎栄子AKUJapan代表理事 基調講演
AKUJapanでのこれまで3年間をふり返り、現在はコロナ禍にあっても、フォーラムなどオンラインを通した活動を実施しており、現在は新潟県にあるボトナム通りのリニューアル行事を進めています。
これは、1959年から始まった在日コリアンの北送事業で第一次帰国船に乗る方のために、新潟市日朝協会が、日朝友好親善のため、第一次船出港のため、305本の柳の木を植え、ボトナム通りと命名。現在80本ほどになった柳の木を復旧する事業です。
この事業においては、日朝友好親善という基本理念は変わりませんが、北送事業開始当時、日本社会において差別もあった在日コリアン(ほとんどは韓国籍)を北朝鮮へ送り込んだ帰還事業の人権問題を忘れないためにこの事業を行おうと考えています。
北送事業がどのようなものであったのかということを社会に周知し、北送事業に関する資料館を作ることも考えています。現在、韓国政府の後押しも受けながらこの事業を進めています。
朝鮮半島の統一がどれほど切実なことなのかと思います。現在の朝鮮半島の分断の状況が物語っているように、別々の運命を歩んだ時、どのようになるのかを歴史に残すことが必要だと思います。それを朝鮮半島の統一に直結する行事としていきます。
現在の朝鮮半島情勢について、金正恩時代になり、幹部の粛清が相次ぎ、最近になって「苦難の行軍」宣言がなされました。コロナで国民の飢えの状況はさらにひどくなっているということです。彼がこのことを宣言したということは、すでにひどい飢えの状況が始まっています。
金正恩は苦難の行軍を国民に向かってやると言いましたが、本来であれば北朝鮮の人々は植える必要がないものです。核開発をするためには、300億ドルが必要だと言われており、そのお金があれば、北朝鮮の国民が100年、植えずに生活をすることができます。
韓半島は分断された当時、韓半島の人々の意志で分断されたのではありません。統一の時も外部の力が必要だと思っています。
韓半島の統一が公的になされなければならないのももちろんですが、私が17歳で北朝鮮に渡ったことにより、日本の家族と離散家族になり、また、脱北したことにより、北朝鮮にいる家族と離散家族になりました。一刻も早く統一が成し遂げられ、家族をこの腕に抱き抱えたいと思っています。
皆様のご協力をお願いいたします。