2021/01/11
12月7日に「韓国の北朝鮮への情報送付の厳罰法制化の問題について」というテーマでオンラインセミナーを開催。30名弱の方々が参加をしました。
元々は「脱北者の異なるバックグラウンドと共通の目的を学ぶ」というテーマでのセミナーを予定していましたが、12月14日に強行採決された韓国の「ビラ散布禁止法(12月7日のセミナー開催時点ではまだ法律として施行はされておらず)」の野党単独採決を受けて、テーマを急遽変更して実施されました。
当日の多くの内容の中から、要点を抜粋します。
―7日時点での法案の状況
■大韓民国外交委員会で、北朝鮮にビラと情報を禁止する法案が採択。この決定に野党は全員が退場し、与党だけの単独採択となった。
■AKUJapan代表理事の川崎栄子氏はこのことについて、「報道を聞いて戸惑った。どうしてこんなことが起こるのか」と思った。12月3日の夜中にVoice Of Americaからの電話を受け、インタビューを行った。それほど国際的に大変なことが起こったという認識で、今回のセミナーの開催に至った。
Voice Of Americaの報道では川崎氏のインタビューも引用された
―今回の法案の背景にある韓半島の歴史
■韓半島は分断して75年。日本の植民地支配の後、東西両陣営、韓半島の人の意思とは関係なく外部の力によって分断された。75年立ったが、統一は成し遂げられていない。
■韓国と北朝鮮の社会状況には現在大きな差があるが、これは政治によって差がどれくらいの差を生むのか、ということを見せつけている。
■金日成の北朝鮮統治下で、対南工作、赤化工作が積極的に行われた。韓国にスパイがどんどん送られた。北朝鮮の対南赤化活動は今でも積極的に行われている。
■昨年6月の南北共同連絡所の爆破や、9月に起こった韓国公務員を射殺事件に対して、文在寅政権はそれに対して何も言えていない。ここには歴史的な要因がある。
■過去、主体思想を勉強し、その信奉者となった若者が、現在の韓国の政治家として活動している。世界中に主体思想研究所があり、主体思想が広まった。
■韓国にて、(ビラ散布禁止法制定以前)朴相学(パク・サンハク)氏が運営する自由北韓運動連合の活動に参加をした際、風船につけたビラを飛ばそうとしたが警察が阻止をした。その頃からビラ散布の活動は政権に目をつけられていた。
■風船といっても一つの風船につける情報は膨大。小冊子や写真、1ドル紙幣など、韓国内だけでなく、世界からの情報をつけて飛ばす。一つの風船が50キロ以上になる。また、風船を飛ばすためにはガスを扱う専門技術、資格が必要。そうした専門資格を取った上で飛ばしている。
■今回のように、ビラ散布禁止措置を法案として通すのはあり得ず、表現の自由、行動の自由を束縛する、自由社会ではあり得ない法案だと川崎氏は思っている。
―今回の法案の決定により北朝鮮にもたらされる影響
■金正恩政権が一切、外部の情報流入を許さない中で、密輸などを通して住民は外国からの情報を入手する。捕まるのは分かっていても、命をかけて情報を手に入れるのが北朝鮮住民。
■元々北朝鮮国内で生まれた人は、資本主義社会から社会主義社会に渡った川崎氏のように、外部からの情報を自分の生活と結びつけて考えることができない。しかし、まずは外部からの情報で、外の世界の状況を知ってもらう、啓蒙することが必要。
■今回のビラ散布禁止法案は、北朝鮮住民が外部から遮断され、虫けらのような生活をすることを韓国政府が認める、ということに等しい。法律として規制することの意味は重大である。
他にも多くの内容が話されました。
後日、全体の動画をアップしますので、お待ちください。