一般社団法人
アクション・フォー・コリア・ユナイテッド

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Action for Korea United日本創設記念国際フォーラム~ワンコリア市民運動日韓発展のために~が開催

2018/09/19

 2018年6月18日15時より、衆議院第一議員会館(東京都千代田区)地下大会議室にて「Action for Korea United(以下、AKU) 日本創設記念 国際フォーラム ワンコリア市民運動 日韓発展のために」が開催されました。韓国からの訪問団を含め、120名余が参加。熱気溢れる時間となりました。
 本フォーラムは、韓国で始まったAKUの日本に置ける組織の発足式として位置付けられました。現職・元国会議員を始め、脱北者の人権支援団体の代表や、在日コリアンのオピニオンリーダーなどをはじめとして、現在の朝鮮半島情勢に関心のある参加者が多数集まり、有意義な時間を持つことができました。

熱心に講演を聞く参加者の方々

 AKUは、2012年、韓国にてNGO団体などが加盟する市民運動の連帯組織として、平和的統一のための種々の政策提言やキャンペーン活動を行うため発足しました。当初は350余だった加盟団体も現在は900を超え、韓国最大の統一のための団体として活動しています。

 現在、核兵器などによる安全保障問題を始めとし、人権問題など様々な不安定要素を抱える朝鮮半島情勢に対して、AKUはその究極的な解決策として、朝鮮半島の伝統的な「弘益人間」の理念を中心とした平和的統一を提唱しています。
 AKUが組織された背景の一つとして、韓国が1998年から開始した「太陽政策」の失敗があります。当時、この政策に基づき、様々な政府機関、民間団体による支援が北朝鮮に対して行われました。

 しかし、団体間での支援の究極的目的の共有がされていなかったことや、支援を通した具体的成果についての合意が作れなかったことにより、北朝鮮に核開発を許してしまったことなどへの反省にたち、AKUは韓国国内の市民・草の根レベルからの同意を形成するための様々な運動を展開しています。

 また、韓国内だけでなく、文化運動を通して、在外コリアンの意識啓発を行い、平和的統一のための国際的世論形成のための運動を進めています。
 2016年には、アメリカにおいてOne K グローバルキャンペーンが発足。世界的音楽プロデューサーも作曲に関わり、平和的統一の意義を音楽コンテンツによって世界に訴えました。
 2017年には、11月にワシントンD.C. 12月には韓国、ソウルにおいて、ワンコリア国際フォーラムが開催され、政治・経済・民間支援など様々な分野から、現状への対処策が議論されました。
 そして、2018年に入り、4月24日には南北首脳会談が、6月12日には史上初の米朝首脳会談が行われ、朝鮮半島情勢が急激に展開している中、今回のフォーラムが開催されました。

中川正春衆議院議員

金忠環元韓国国会議員

司会を務める特定非営利活動法人北朝鮮難民救援基金 加藤博理事長

 フォーラムは、特定非営利活動法人 北朝鮮難民救援基金 加藤博理事長の司会により進行され、来賓挨拶、主催者挨拶、基調講演がありました。

 初めに、司会の加藤氏により、AKUの団体理念の紹介がされました。緊張状態に置ける北東アジア情勢に対する解決策として、平和的統一の可能性を模索して行きたいとの投げかけにより、フォーラムが始まりました。

 来賓挨拶では、衆議院議員である中川正春氏、元韓国国会議員である金忠環(キム・チュンファン)氏が言葉を述べました。
 中川氏は、20年に渡る国会議員としての経歴の中で、韓国の議員と協力して北朝鮮の人権問題に取り組んできたことに触れながら、「人権問題解決のためには、日韓の二国間のみならず、国際的な連携が必要である。国際議員連盟の設立、アメリカの人権法の成立が成果としてあったが、今後、今回のテーマであるワンコリアを最初の目標として、みなさんと一緒に協力して進めて行きたい」と強調されました。

 続いて金氏は、朝鮮半島の分断から70年を迎える今年に、AKU日本発足を機会に、韓国においても統一運動が一層強化されていくことへの期待を表明されました。「日本と韓国は地理的・歴史的・血統的に近い国」であるとし、様々な葛藤はあったが、それにも増して、協力の歴史があった。1965年の日韓国交正常化以降の日本の協力にも感謝し、南北・米朝首脳会談に引き続き、さらなる平和を創造していけるよう、協力して行きたい」と述べられました。

 続いて主催者として、AKU日本の川崎栄子代表理事、安燦一(アン・チャンイル)世界北朝鮮研究センター所長、柳在豊(リュ・ジェプン)ワンコリア財団会長が挨拶。
 日本代表理事に就任した川崎氏は、43年間に渡る自身の北朝鮮での体験と、脱北後の日本での著作活動とNGO「モドゥモイジャ(日本語で「みんな集まろう」の意)」活動、北朝鮮の人権問題に関わる国際的な活動について触れました。そして、今回の就任の動機を、これまでの活動をより国際的な次元に昇華し、平和な朝鮮半島、平和な地球を次世代に引き継いで行きたいと述べ、1919年の3.1独立運動100周年である来年の3月1日に向けて、大きなうねりを起こしていきたいと強調しました。

主催者挨拶 川崎栄子氏(写真左)、安燦一氏(写真右から2番目)、柳在豊氏(写真一番右)

 安氏は、挨拶の中で「日本こそが北朝鮮問題と朝鮮半島の統一に関心が高い国であると思う」と述べ、これまでの北朝鮮政府に対する圧迫と、人権問題の解決の努力を評価されてしかるべきと話しました。「統一コリアは、平和を愛する朝鮮民族の心と、弘益民主主義の現代的発現である」としながら、「ワンコリアは、国民の、国民による、国民のための政府の真のモデルとなるだろう」と期待を表明しました。

 柳氏は、「川崎代表の話を聞きながら、北朝鮮の悲惨な状況を知るとともに、AKUが提唱する統一コリアを通して、現状を打開することを願う」としながら、「AKUが志向するビジョンが、弘益人間を基調としており、その精神は、日本における明治維新や、アメリカの建国精神にも繋がっている。昨年はアメリカと韓国でAKU国際フォーラムが開催されたが、日本も一連のフォーラムに連結されながら、国際的な動きとなるように協力していきたい」と意気込みを語りました。

 基調講演では、ネヘミア・グローバル・イニシアチブ会長のケネス・べ氏と、AKUの共同常任代表を務める、徐仁澤(ソ・インテク)氏が講演者を務めました。
 べ氏は、1985年にアメリカで市民権を取り、その後、知り合いの牧師を通して、初めて北朝鮮出身者に会った経験を回想しました。
 そして、それをきっかけに、北朝鮮の人々の生活・現状を伝え、彼らを支援するため、北朝鮮への旅行会社を設立した経験に言及。その旅行中に拘束され、735日間の教化所での抑留体験に触れながら、「話したいことを話すことができ、食べたいものを食べることができ、信じたいものを信じることができる。そのような人間にとっての基本的な自由がどれほど貴いものであるかを知った」と語りました。
 最後に、「統一コリアでは、信教の自由を初め、自由が保障された国になることを心から願う。統一のためには日本のみなさまの協力が不可欠である」と呼びかけました。

講演を行うケネス・べ氏

徐仁澤(ソ・インテク)氏(右)

 徐氏は、「南北・米朝首脳会談が終わり、軍事的危機が、対話ムードへと変わり、世界に深刻な危機を与えている北朝鮮の核問題も、解決に向かっているように見える」と前置きつつも、「朝鮮半島問題の本質は、北朝鮮であり分断である。このことが解決されない限り、恒久的平和体制の実現は不可能である」と強調しました。

 また、現在が統一に向けて劇的な機会を迎えている理由として、核・人権問題に対する国際的コンセンサスが形成されていること。北朝鮮内部にも、市場経済や情報流入の変化が訪れていることを挙げながら、「今こそ、自由と民主主義の普遍的理念に立脚したビジョンを推進していく時である。自由民主主義の理念に立脚して建国されたアメリカが、文明史に残る国となったように、統一コリアにおいても、普遍的理念である自由と民主主義に立脚した国となり、世界平和に貢献する国とならなければならない」と語りました。

閉会の辞を述べる北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会の山田文明名誉代表

 最後に、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会の山田文明名誉代表が閉会の辞を述べました。
 山田氏は、これまでの自身の活動をふり返りながら、「韓国において、特に若い人たちの間で、統一に対する同意が少ないことを懸念していた」と始め、その中で、AKUが取り組んでいることを非常に有意義なことだと評価しました。
 また、今後の課題は、韓国だけでなく、北朝鮮の人々もAKUが提唱するビジョンを受け入れることだとし、「日本においてAKUのビジョンが受け入れられれば、世界に適応できる内容となる可能性がある」と今後の日本における活動に対する期待を表明し、フォーラムを締めくくりました。
 問題に対する国際的コンセンサスが形成されていること。北朝鮮内部にも、市場経済や情報流入の変化が訪れていることを挙げながら、「今こそ、自由と民主主義の普遍的理念に立脚したビジョンを推進していく時である。自由民主主義の理念に立脚して建国されたアメリカが、文明史に残る国となったように、統一コリアにおいても、普遍的理念である自由と民主主義に立脚した国となり、世界平和に貢献する国とならなければならない」と語りました。

「One Dream One Korea One World」のタオルを持って記念撮影